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インディ500で佐藤琢磨と戦った米空軍 その真相は? 自動車レースにスポンサーにつくワケという記事を目にした。記事には「アメリカ空軍はインディ500に限らず、NASCAR(ナスカー)などでもスポンサーにつくなどして、若者へのリクルート活動へつなげています。」と最後に書いてあり間違ってはいない。
しかし、INDYCAR、NASCARにアメリカ軍がスポンサーにつくのにはよりアメリカの文化が関係している。INDYCAR、NASCARではチームのスポンサー以外にレース前のセレモニーに必ずと言っていいほど軍人がセレモニーに参加する。国歌を独唱する歌手を軍の音楽隊が担当したり、スタートコマンドを担当することもある。また、国歌を歌っているステージの後ろに国旗、州の旗、陸海空海兵の軍の旗を持っているのはほとんどが軍人だ。このように、セレモニーには軍隊の協力があってレースが進行されていく。
セレモニーはお祈りに始まり、国歌、空軍などによるフライバイとレース会場、ファンの雰囲気を盛り上げるだけではなく、軍隊への感謝、軍隊の活動の感謝の場であり、軍隊としてはよりたくさんの人に知ってもらえる広報活動の場でもある。
インディカーには過去にナショナルガード(州軍)のスポンサーもついていたこともあった。NASCARでは陸軍、海軍、空軍(現在もババウォレスのスポンサー)、海兵隊、沿岸警備隊とすべての軍がスポンサーについていた。これは、記事にもあったように若者へのリクルートと活動を知ってもらう広報の両方がある。
アメリカでは軍隊は当たり前の存在であり、特別な存在でもある。これはどういうことかというと、軍人が身近な存在でレースに足を運ぶと制服を着た軍人がいるごく身近な存在でアメリカ人の生活の一部となっている。メジャーリーグが好きな方だとプレーボール前のセレモニーで軍人を見る気かがあるかもしれない。他にも、レースとは話がずれるがスーパーやレストランでも制服を着た軍人を目にする。アメリカで飛行機に乗る際に見てもらいたいのは、各エアラインの上級会員よりも先に軍人がコールされ搭乗できる。日本なら、ファーストクラスや上級会員が優先搭乗やグループ1で搭乗できるがアメリカでは軍人が一番最初に乗り込める。また、身近な存在として、退役軍人のピットクルーも多く存在する。
一方、特別な存在でもあるというのは、尊敬されており、身近ではあるがアメリカ人ではヒーロー的存在だということだ。もちろん、本来の仕事はレースやスポーツのセレモニーを支えるものではない。時には危険な状況でもアメリカのために働いてくれている存在である。
このような、背景もあり軍人の支えがありセレモニーも盛り上がる。
インディ500とコカ・コーラ600が開催される5月の最後の日曜日はメモリアルウィークエンドと呼ばれ翌日の月曜日はメモリアルデーだ。メモリアルデーは戦争で戦死した兵士を称える休日だ。今年はインディ500は5月ではなく8月の開催となったが伝統と敬意を表しタップと呼ばれるラッパ演奏があった。
NASCARのコカ・コーラ600ではマシンの名前が普段はドライバーの名前のところを戦没者の名前に変えている。また、マシンカラーも軍隊のスポンサーではないマシンも迷彩柄や国旗柄が多く目立つ。これは、普段からスポンサーについている企業がメモリアルデーでは兵士に敬意を表すためにマシンのカラーを変えて出走している。
例えば、Geico(これはGeicoミリタリー、軍人保険)だが普段は青を基調としたカラーだがメモリアルデーでは迷彩になっている。Geicoは保険会社だ。
ダニカのスポンサーをしていたNature's bakery。スポンサーの契約金でもめていたが、普段は水色のマシンが格好いい迷彩になっている。
ドライバーも退役軍人や戦没者の兵士の家族との交流を大事にしている。記憶が正しければ、佐藤琢磨も空軍基地を訪問していた。
今年、コカ・コーラ600を勝ったブラッドケセロスキーはレース後にファンでもあり、ブラッドケセロスキーのマシンに名前が載った兵士の家族とテレビ電話をしていたり、ジミージョンソンは戦没者兵士の家族と食事をするなどの交流を行っている。
アメリカ軍がスポンサーにつくのには広報活動だけではなく、アメリカ軍とモータースポーツ(アメリカ文化)が大きく影響している。アメリカ人のおおくの人が軍隊には感謝しており、身近な存在でありモータースポーツにとっても大事な存在なのである。
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