2021年2月16日火曜日

約8時間の末決着したデイトナ500 2021

 フロントローモータースポーツの快挙

 NASCAR開幕戦デイトナ500は予定通り現地午後3時から開催された。レース開始から14周目に一回目のビッグワンが発生し、雨も降り始め、16周目でレースは中断した。約6時間の中断後、レースは再開された。再開後は14周目までが嘘かのようにシングルレーンのレースが続き、ステージ1,ステージ2共にJGR(トヨタ)のデニーハムリンが制した。ステージ終了直前3周まではずっとシングルファイルで誰もリスクを負って動こうとはしなかった。そして、最終ステージもシングルファイルが続き、最終ラップまで動きはなかった。最終ラップにはペンスキーのブラッドケセロウスキー、ジョーイロガーノ、SHRのケビンハービック、フロントローモータースポーツのマイケルマクドウェルなどフォード勢が固まっており有利な状況で、ケセロスキーがロガーノをブロックしたところクラッシュが発生。クラッシュを避けたマイケルマクドウェルが長かったデイトナ500を制した。
クラッシュ後すぐにイエローとなり、イエローになった瞬間に前に出ていたのがマクドウェルだった。

10年周期のミラクル

マクドウェルは今回のデイトナ500がキャリア初優勝。そして、面白いことに10年前の2011年もデイトナ500ではトレバーベイン(ウッドブラザーズ)がキャリア初優勝、そしてその10年前の2001年にはマイケルウオルトリップが初優勝した。

速かったハムリン(トヨタ)が勝てなかった理由

ステージ1,ステージ2の両方を制しレースも支配していたハムリンが勝てなっかた理由はピットのタイミングにある。JGRの三台とババは14周目のクラッシュでも被害は少なくレース再開後もリードラップをキープしており優勝候補だった。そして、速さも見せていた、それなのにステージ3では前に出ることができず、シボレーとフォードに完敗した形と結果はなってしまった。ステージ3ではイエローのピットではなく、アンダーグリーンピットとなりそこでトヨタは遅れてしまった。遅れたと言っても、ピット作業が遅かったわけではなくスーパースピードウェイ特有のピットタイミングが原因となってしまった。デイトナ、タラデガではアンダーグリーンピットでは一緒に入ってくるパートナーが重要である。多く一緒に入る方が有利となる。その理由は、ピット後速度が上がるまで時間が掛かりお互いにパックを作ってレース速度まで戻さなければいけない。そのため、スーパースピードウェイではエンジンメーカー同士やチームごとにまとまってピットに入ってくる。例えば120周にフォードが入れば、その数周後にトヨタ、シボレーと入ってくる。そのため他のレーストラックで見られる、1台だけでタイムを稼ぎアンダーカットやオーバカットと言った作戦は難しくなる。
これを踏まえたうえで、最後のアンダーグリーンピットを見てもらえばわかると思うが、シボレーとフォードはまとまった台数でピットに入っていたのに対し、トヨタは4台でその間も開いてしまっていた。結果はハムリンが1台でピットアウトしてしまいパートナーがいない中、先に入ったフォード組が速度をつけており抜かれてしまった。
シングルファイルのレースになっていたので、最後のアンダーグリーンでは台数の少なかったトヨタは、トヨタのみでピットには入らず、シボレーかフォードのどちらかに付いていき一緒に入ればポジションを落とさず戻れたかもしれない。コース上で抜くのが難しかった今年のデイトナ500でピットタイミングがフォードより3から5周の有利にあったトヨタでトヨタ同士でパックを作り前に出る作戦をとっていたようにも見えたが結果としては後に入ることや、単独でのピットとなりポジションを落とす結果となった。












14周目のビッグワン

 14周目のビッグワンは見ていた誰もが早すぎると思っただろう。16台が巻き込まれ10台がリタイアとなるクラッシュになってしまった。
クラッシュは前方で起こったこともあり後方の多くのマシンが巻き込まれてしまった。インサイド2番手を走っていたSHRのエリックアルミローラがJGRのクリストファーベルからコツンとプッシュされバランスを崩しアウトサイドにいたヘンドリックのアレックスボウマンを巻き込み後方のブレイニー、テューレックス等々が巻き込まれた。カイルブッシュからのプッシュもあり勢いがついてしまい、ベルがアルミローラにプッシュしてしまったように見えたので、カイルも2年目のベルにそこまでプッシュするのはリスクを負うこともなかったのではないかと思う。ベルの経験不足と風の流れがこのクラッシュを引き起こしてしまった。
このクラッシュが残り20周とかであれば、アグレッシブに攻めた結果となるが残り180周のところで起こるべきではないクラッシュではあった思う。雨でハーフウェイレースとなると見込んでいたのか、他の後方のドライバーも3ワイドで攻めていたのも重なり、結果16台を巻き込むビッグワンとなった。そして、前日から降っていた雨で芝にかなりの水を含んでおり、芝生に突っ込んだブレイニーなどは誰にもぶつかっていないのにかなりのダメージを負いリタイアとなった。
ベルを責める気は全くなく、これも新しい経験として学んだことだろう。

まとめ

今年も去年に続き雨に悩まされ長かったデイトナ500。なんと現地FS1とFOXの放送時間は13時間半だった。そして、レースも再開後は単調に進んだ。点数を100点満点でつけるなら55点あたりだろう。しかし、決してトップチームではないフロントローモータースポーツの優勝。まさに、アメリカンドリームを見ることができた。マイケルマクドウェルは最終ラップの数フィートだけしかリードをしていないが、勝ちは勝ちだ。そして、200周ずっとペンスキーに付いていける速さはあった。残念ながらペンスキーは全車リタイアとなったが、これもデイトナ500であり、新たな歴史が刻まれた。

2021年2月3日水曜日

NASCAR2021年シーズン注目点

  NASCAR2021年の開幕も2週間と迫ってきた。

今年の開幕戦も開幕にしてシーズン最大のイベント、デイトナ500で始まる。そして、開幕前に毎年開催されるNASCAR デイトナクラッシュではオーバルではなくロードコースが使われる。

開幕前に知っておきたい注目点をまとめてみた。


今年のカギとなるのはロードコースを誰が制するか

 例年まではNASCARではロードコースは多くて3戦(去年はスケジュール変更で急遽デイトナロードコースが追加)であった。数年前まではソノマ、ワトキンスグレンの2コースのみで最近になりシャーロットのインフィールドを使ったロードコースも追加された。しかし、NASCARと言えばオーバルレースが基本で多くのドライバーがロードコースに苦しんできた。
その中、今年はロードコースレースが6戦組み込まれた。新しく追加されたコースとして、F1やインディカーも開催しているCOTA(テキサス、オースティン)やXfinityやインディカーが開催されているロードアメリカ(ウィスコンシン州)が追加された。デイトナ500の開幕後、スケジュール変更でデイトナロードコースも2戦目に変更された。
今年はロードコースで成績を残すことがカギとなるだろう。
ロードコース注目ドライバーはなんと言っても去年のチャンピョン、チェイスエリオットだろう。彼はチャンピョン獲得の勢いと共に、ロードコースは2019年のワトキンスグレンから去年初開催となったデイトナロードコース、シャーロットローバルと5戦連勝している。
NASCARカップ戦で一番ロードコースに強く勢いがあるドライバーであることは間違いない。
もう一人のロードコースでの注目ドライバーはチームペンスキーの社長、ティムシンドリックの息子でXfinityチャンピョンのオースティンシンドリックだ。彼は今年もXfinityにフル参戦が決まっているが、ペンスキーからカップ戦に数戦スポット参戦が決まった。ペンスキーはロードコースだけではなくオーバルにも参戦させるとしているが彼がロードコースで活躍するのは確実だろう。というのも、彼はロードコースを得意としており、オーバルでは勝てないなどとも言われていたが、去年オーバルでも結果を残しチャンピョンを獲得した。来季のカップ参戦もかかているので、今年のロードコースではチェイスや他のドライバーを脅かす存在になるだろう。











今年で契約が終了するドライバー

2021年シーズンが始まる前から2022年の話をするのは早い気もするが、来季のために戦うドライバーはいつもアグレッシブなので注目点だ。
まず、ウッドブラザーズから参戦しているマットディベネデットが2021年の1年契約なので、来季ペンスキーまたはほかのチームに移籍するには今年勝っておきたい。また、ウッドブラザーズから参戦が噂されているオースティンシンドリックにも負けてはならないだろう。
もう一人は、ベテランのブラッドケセロウスキーだ。彼はチームメイトのライアンブレイニーが複数年契約する中、1年延長という契約となった。スポンサーの関係もあるかもしれないが、2022年のために今年結果を残す必要があるだろう。しかし、去年はチャンピョンシップ4まで残りチャンピョンシップ争いもしていたのでまだまだ活躍できるので期待したい。そして、新しいミラーライトビール系列のビールのスポンサーも発表された。

新規一転を狙うドライバーとチーム

今年の一番のニュースと言ってもいいぐらいのニュースと言えば23XIレーシングだろう。
23XIレーシングはアメリカのみならず世界中のバスケットボールのレジェンド、マイケルジョーダンとデイトナ3勝の現役ドライバー、デニーハムリンが共同オーナーとなり設立されたチームだ。ドライバーは去年リチャードペティレーシングから参戦していたババウォレスがチームに加わる。ハムリンはプライベートでバスケをプレーしており、マイケルジョーダンもNASCAR参戦に興味がありこのような話が実現した。エンジンもトヨタということでJGRの実質的な5台目ともいえるだろう。チーム名もマイケルジョーダンの背番号23番とデニーハムリンのカーナンバー11をアルファベットで表記し23XIレーシングというのもおしゃれである。スポンサーは日本でも需要が出てきているフードデリバリーの会社でドアダッシュやドクターペッパー、コロンビア(衣服)などが付いている。











もう一人心機一転するドライバーがいる。JGRから参戦していたエリックジョーンズだ。彼はトヨタの育成ドライバーであったが、クリストファーベルにJGRのシートを取られてしまいヘンドリック移籍なども噂されたが、NASCAR7回チャンピョンのレジェンド、リチャードペティ率いる、リチャードペティレーシングから参戦する。去年はデイトナクラッシュ(ノーポイントレース)での優勝しかなく他の3人のチームメイトが1勝以上する中、あまり活躍できなかったが、実力はあり勝てていないリチャードペティレーシングをビクトリーレーンに持っていくことができるか注目だ。

カイルラーソンが戻ってくる

差別発言によりチップガナッシから解雇、NASCARからは出場停止となっていたカイルラーソンが名門ヘンドリックからNASCAR参戦復帰となる。カーナンバーは5番だ。
そして、ラーソンと言えばダートトラック。今年はロードコースの追加のほかに、春のブリストルのレースがダートで行われる。すでにブリストルには土が運び込まれ準備は整っている。すべてのドライバーが未知の中、ブリストルでのラーソンの活躍は今からでも楽しみである。

今年ルーキーのドライバー

今年のルーキーで注目なのはロスチャスティンとチェイスブリスコーだ。
まず、ロスチャスティンはチップガナッシから参戦する。勝ったときのメロンを割るパフォーマンスをカップ戦でも見たいところだ。
チェイスブリスコーはSHRから参戦する。去年はXfinityで活躍した。チームメイトにはハービックや去年ルーキーで優勝したコールカスターなどがいるのでよきライバルとなり活躍するだろう。
ルーキーではないがJGRから参戦するクリストファーベルも注目したい。

個人的に注目したいドライバー

個人的に注目しているドライバーはライアンブレイニーだ。去年はタラデガでの1勝とトップチーム、ペンスキーにいながらまずまずの成績だった。彼はチェイスエリオットと大親友で子供のころから一緒にレースをする親友でありライバルでもある。チェイスがチャンピョンを獲得したことでブレイニーも刺激されただろう。これからのNASCARをチェイスと共に率いてもらいたいと期待している。







以上。

2020年11月14日土曜日

NASCAR2020最終戦 チェイスエリオットが念願のチャンピョン獲得

  いろいろあった2020シーズンも無事に終了。例年はサンクスギビング前にシーズンが終了するが、今年は2週間早くシーズンが終了した。コロナウイルスの世界的流行で一時はシーズンの続行もできないのではないかと言われていたスポーツ界で真っ先に5月からレースを再開し、シリーズ36戦すべてを終了した。


 チェイスエリオットがカップ参戦4年目にして初の年間チャンピョン獲得。

k&N(現ARCAメナードシリーズ)やネイションワイドシリーズ(現Xfinityシリーズ)でキャリアを積み、2016年からジェフゴードンの後釜としてヘンドリックからデビュー(初カップレースは2015年のマーティンズビル)。フルタイムデビュー1戦目のデイトナ500でポールポジションを獲得。父がビルエリオットということやNASCAR伝統の24番を背負っていることで期待はされていたが2018年まで勝利がないシーズンを過ごした。2018年にカーナンバーを9に変更。その年にワトキンスグレン・ロードコースでキャリア初優勝。その後もロードコースでは圧倒的な速さを見せシャーロットローバル、デイトナロードコースでも勝利している。まさに、ロードコースのスペシャリストと言える存在となっている。そして、今年が初めてのチャンピョンシップ4進出となった。

 今回のチャンピョンシップ4は2回目のチャンピョンを狙うブラッドケセロウスキーとジョーイロガーノのペンスキーと初チャンピョンを狙っていたデニーハムリンとチェイスエリオットの4人で争われた。チェイスエリオットはレース前の車検で2回も車検落ちしリアからのスタートとなった。しかし、このリアからのスタートがトラフィックの中を走れるマシンを作り上げていったと言える。他の3人は速さは申し分なかったがトラフィックや抜くときに後ろにつきにくいマシンとなっていた。ブラッドケセロスキーはリッチモンドで勝ったマシンをそのまま持ってきていて、ジョーイロガーノも春のフェニックスで勝ったマシンを持ってきていた。そして、デニーハムリンとチェイスエリオットは新車を持ってきていた。ステージ1終了前にはチェイスエリオットもトップ争いに加われるポジションまで上がってきていた。ステージ1はジョーイロガーノが取り、ステージ2はチェイスエリオットとのバトルを制しブラッドケセロウスキーが勝ち取った。最終戦はステージポイントは重要ではないが、今回の最終戦はレースの全体を見てもチャンピョンシップの4人が常時トップ争いをしていたため、レースの勝者がチャンピョンを獲るという戦い方になっていた。
ファイナルステージではチェイスエリオットが3秒のギャップを作り、見事初チャンピョンを獲得した。










ブラッドケセロウスキーはレース後のインタビューで「トラックシリーズやXfinityみたいに最後にリスタートがあれば勝てた」とコメントしていた。

デニーハムリン今年もチャンピョンを逃す

今年もデニーハムリンはチャンピョンを獲得できなかった。去年も絶好の状態で今年こそはチャンピョンかと言われていたが、フロントの水温のテープを間違えるミスによりエンジンブローしてしまった。今シーズンはケビンハービックに次ぐ7勝をしていて、今年こそチャンピョンに一番近いところまできたがペンスキーの2台とチェイスエリオットには勝てなかった。今年は最多勝利のケビンハービックがチャンピョンシップ4に進出できずチャンスはハムリンかと思われていたがまたお預けとなった。











Big NのFAST Thoughts

今回の最終戦はジミージョンソンの引退やデニーハムリン、チェイスエリオットの初チャンピョン獲得が掛かった戦いだった。そして、テェイスエリオットが初チャンピョンを獲得。ペンスキーやJGRの勢いに負けていたヘンドリックが勢いを取り戻した一戦だったともいえる。そして、例年まではホームステッドでの最終戦から1マイルのフェニックスに変わっての最終戦となり、リード争いをチャンピョンシップ4の4人で争う見ている側としては面白い最終戦となった。







約8時間の末決着したデイトナ500 2021

 フロントローモータースポーツの快挙  NASCAR開幕戦デイトナ500は予定通り現地午後3時から開催された。レース開始から14周目に一回目のビッグワンが発生し、雨も降り始め、16周目でレースは中断した。約6時間の中断後、レースは再開された。再開後は14周目までが嘘かのようにシン...